中学校の正規教諭を辞めて小学校非常勤講師になった体験談

こんにちは教育コンサルタントのマサムネです。

中学校教諭を30代で退職して小学校の非常勤講師として勤務しています。空いた時間は教育コンサルやサイト運営、youtubeの運営などをしています。

パラレルワークの1つとして責任を持って仕事をしていますが、そういった働き方を始めるにあたって僕が経験したこととその感想をまとめます。

この記事は

正規の教師を退職して非常勤講師を織り交ぜたパラレルワークを検討している人向けの記事です。

以下の情報が得られます。

  • 非常勤講師のメリットデメリット
  • 非常勤&パラレルワークの働き方の成果と課題

なぜ非常勤&パラレルワーカーになろうと思ったのか

簡単にいうと正規教諭として働くのをいったん辞めて事業を育てたかったけど、そこまで貯えがあるわけではなかったからです。

高時給&時間のメリハリ

ゆくゆくは個人で作っている仕事を本業にしていくつもりですが、それまではある程度の生活費を稼がないといけません。

時間労働から拡張性のある働き方に移行したいとは考えていますが、すぐにすべて移行できるわけではないのである程度の時間は自給労働を続ける必要があります。

非常勤講師の時給は自治体によっては1コマ2880円。かなり高時給です。

コチラの記事で書いたように退職した学校の先生は稼ぐ力、つまり人的資本が小さいですが、非常勤講師をするのであれば時間当たりある程度は高水準で賃金がもらえます。

自給労働を最小限にするためには時間単価を上げることが効果的です。

また、普通に勤務するフルタイムの学校の先生より時間にメリハリのある働き方が可能です。

基本的には割り当てられた授業を責任をもって担当するだけです。(実際にはそれ以上を求められる場合もあります。)

自分と家族に充分に時間を使う

これもパラレルワーカー&非常勤の最大の目的です。

中学教師だった僕は、自分や家族に最大限時間や体力を使える働き方をしていませんでした。(これは自治体や学校によっても異なると思います。)

自分で仕事を生み出し、時間のコントロールもできれば、きちんと家族に時間を使えると考えました。

実際はそこまで甘くもないのですが、少なくとも正規の教諭をしていることと比べればきちんと時間を割り当てられていると思います。

自分で仕事を作ってみたかった

副業というか複業というか、、、教師をやっていると基本的にはそういったことが禁止されています。

でも教師をしながら思っていたわけです。

「教師(自分)ってすごく視野が狭いなぁ・・・」と。

同じ場所に通い続けて、同じような価値観の中同じことを続けていたら当然そうなります。

僕はそれに危機感を抱きました。「このまま60歳まで働き続けるのは違う気がする・・・」そんな感情です。

きちんと世の中で価値を生み出して、それを教育の場に還元するのが一番いいんではなかろうか。。。

実際にカナダなどでは学校の先生は自分で教職以外の仕事を持っているそうです。うらやましい。。。

社会に出て何らかの価値を生み出してもいないのに「そんなんじゃ社会で通用しないよ」みたいなことを子どもにいうのはなんだか成立していないような気がしまして…(子どもを責任もって預かっているという意味では教師もきちんと社会に価値を生み出しています。)

だから独立してみようと考えたわけです。

目次

非常勤講師のメリットデメリット

「非常勤講師は時給も高いし、時間も選べるからなんかいい感じに働けるはず!!」と考えて正規から鞍替えしたわけですが、非常勤には非常勤のデメリットがあります。

非常勤講師のメリット

まずはいいところからご紹介します。

時間にある程度融通が利く

これは小学校限定かもしれませんが、ある程度は勤務したい曜日などの要望を聞いてもらえます。

中学校に勤務する話もあったのですが、中学は時間に融通は効きにくい印象でした。

中学校で時間割を組んでいたこともあるのでわかるのですが、中学校の時間割は複雑なパズルのように組み合わさっています。そんな中で講師の希望通りに時間割なんて動かしていられないのです。

曜日をある程度かためてもらったり、勤務する曜日を指定したいというようなことがある場合は小学校で希望を出す方が良いのかもしれません。

ただしここは学校事情との兼ね合いもあるので、勤務する前に学校側としっかりと話し合う必要があります。

時間単価が高い

1コマ2880円です。

パートナーの扶養の範囲で働けばそのままもらえます。

非正規の労働者の中でも群を抜く高さです。

しかしサービス残業をすればどんどん単価は下がっていきます。

責任はやや低め

担当する時間にしかいないので責任はやや低めになる傾向があります。

保護者対応などはほぼほぼ起こりません。(対応する時間に学校にいないからやらせられない。)

そのかわり意識しているのは、ケガやトラブルなど自分が対応しなければならなくなった場合の引継ぎです。

ケンカが起こった際などにそれを自分だけで解決して午前で帰宅…のようなことをしてしまうと学校にえらい迷惑がかかります。ここは細心の注意を払っています。

自分が担当する業務を責任をもってこなしますが、保護者への連絡などが必要になった際の引継ぎなどは必ずフルタイムで勤務している先生にしっかりと行います。

非常勤講師のデメリット

ここからは正規から非常勤になって気づいた非常勤講師のデメリットです。

昼休みや空きコマの扱い

昼休みや空きコマの扱いが微妙になりがちです。

僕は正規の頃非常勤の先生に時間外の労働を強いることはないように気を付けていましたが、全員が全員そういったことに敏感なわけではありません。むしろ学校の風土はそういったことには無頓着な場合が多いです。だから誰が悪いわけではないのですが、空き時間の扱いがあいまいになりがちです。

色んな自治体の労働条件をみると、1コマ(ただし60分に満たない場合は前後の準備や片付け含めて60分)のようなかたちになっています。本来であれば授業時間以外は給与が発生していませんし、何かがあっても勤務していないものとみなされる恐れもあります。勤務時間外は子どもの教育活動にも責任が持てません。例えばけがをさせてしまったり、反対にさせられたりしても何にも守ってもらえません。

例えば昼休みをはさんで5時間在校していることになっていても、本来は昼休みは勤務時間に含まれていません。

一方で休憩時間返上で働いているフルタイムの先生方を前に「いや、勤務時間外なんで」みたいなことをスパっと言うのは鋼鉄のメンタルを持っていないと無理です(-_-;)僕にはとても・・・。

実際勤務してみると小学校の昼食指導は大変ですし、せっかくいるんだから役に立った方が良いよな。。。と、普通に全然思います。

でもなぁ~ーーーー!!!と。今後の人生をしっかり考えて、「よし、一度退職しよう!」と決めたのにこんなことで妥協していいのかなぁ…とか。ルール違反しているのは学校の風土なのになぁーーー!とか色々思うわけです。

1日1時間のサービス勤務でも50週やれば50時間です。

お互いの歩み寄りはあってもいいのかなと思うので、あまり頑なにならず、でもどういう風に働きたいのかということははっきりと伝えて、良い着地点を模索していく必要があるのではないかと思っています。

ここは本当に悩みどころです。

僕の場合は・・・ある程度時間は固めてもらいつつ、ある程度譲歩しつつ、、、という感じで対応しています。

ややぞんざいな扱い

これはある程度仕方がないというか・・・。僕が正規だった時も非常勤の方にやたら偉そうというか、その人のことにあまりかまけていられないというか、何せ正規の人に比べて付き合い方を変えている教師は時々いました。

ほとんどの方はそうではないのですが、やはりどこに行っても一定数おられるなという印象です。

自分で選んだ道なので仕方ないのですが、たまにこう・・・やはり僕も人間ですから悲しくなったり悔しくなったりはします。

人によっては非常勤講師ということで「教師にまだなれていない人」という見方をする人もいるようです。

「できないのではなくやりたくない」だけなんですが、うーん。

出会った人全員に説明するわけにもいかないのでそういうものかと割り切るしかありません。

子どもとの信頼関係を構築しにくい

これはもう仕方がありません。一緒にいる時間がどうしても短くなるので信頼関係構築にあてる時間は少なくなってしまいます。

その状態では、こちらの要望を聞いてもらうことが難しくなるため、安全管理が主な仕事になってしまいがちです。

なるべく話しかけるように努めて、早めにお互いについて理解を深めることが大切です。

「とにかく注意する!」とかは絶対ダメです。

週当たりの時間数が自分でコントロールできない

教育委員会から「週当たり18時間で!」と依頼されれば18時間になりますし、12時間であれば12時間です。

非常勤の先生をどれくらいの時間割り当てられるかは制度によって決まっていますので多くしたり少なくしたりということはできません。

あとはそれぞれの学校事情によって人員の勤務時間が決まります。

ある程度は「週〇〇時間以内の勤務でお願いします」と依頼できますが、条件を付ければつけるほど採用される機会は少なくなるようです。

ざっくりとした希望だけ伝え、あとは来るものに任せるといった感じでしょうか。

ちなみに私は週15時間未満なので自分や家族のために自由に使える時間も多くていい感じなのですが、完全にたまたまラッキーでこういった枠をもらえました。

条件としては、「非常勤で家からなるべく近ければなんでもいいです。」みたいな感じで打診していました。

それでも見つかってありがたいのですが、やはりなるべく早くすべての時間を自分のコントロール下におけるようにしたいなと考えています。

非常勤&パラレルワークの働き方 成果と課題

まだ全然成果をあげられていませんが、この働き方の成果と課題、そして今後の展望です。

成果

時間のコントロールが半分くらいは自分の思い通りになるということでしょうか。

実際にこの記事も勤務後から子どもの保育園のお迎えまでの時間に書いています。

今日の流れとしては昼まで勤務→夜ごはんの買い物→自分の仕事、といった流れです。

イメージ通りの働き方ができていますし、平日のうち二日は完全に自分の作業の時間に充てることができています。

また副次的な効果ですが、教育現場の実際の状況を肌で感じることができるのでそれも一つのメリットかなと考えています。

課題

課題は精神的な問題でしょうか・・・。

まず、非常勤が決まるかどうかは完全に自治体の事情によりますので待っている間の不安感ときたら尋常じゃありません。自分の人生のコントロールを自分で握れていないことに悲しくなります。

あと子どもの写真をふと見たりすると悔しくて悔しくてしょうがない・・・。みたいになります。

「今の自分はこの子たちに時間はかけてあげられても好きなおもちゃを買ってあげられない。」

そう考えるとなんていうかもう普通に泣きます。

でもその悔しさがバネにもなります。キーボードをたたく力が高まります(笑)

収入面のストレスも無視できません。例えば夏休みになったら授業がなく必然的に収入もゼロになってしまうので、そういったことを考えると多少は不安になります。家計を計算し、問題ないように設計しているのですが、それでも以前までの給料と比べると雲泥の差ですので、言い知れない恐怖心はあります。

非常勤の特徴ですが、例えば産休前の軽減で入ったりすると年度途中でも普通に契約が切れてしまうのでそこも困りものです。

一刻も早く自分の仕事を軌道に乗せる必要があります。

今後の展望

さしあたって退職後から最長5年は自分の仕事を作り出す努力を続けます。

そのころくらいで自分の子どもたちが小学校にあがります。それくらいになっても何の芽も出ていなければ撤退しておとなしく教師をした方が良いだろうなという判断です。

そもそも僕、中学校教師の仕事好きですしね^^

また、今は教員採用試験の市況も売り手市場ですが今後はどうなっていくかがわかりません。

5年以内くらいであれば、学級の少人数化などの影響でそこまで厳しい市況になっていないと予想しています。

とはいえまさに薄氷の上を歩くような挑戦なわけですが、自分が選んだ道なので仕方ありません。

余計なことは考えず、目の前のやるべきことに集中して生きていきたいと思います。

まとめ

以上、中学校教員からフリーランス&非常勤になった僕の体験談をお伝えしました。

まとめると

非常勤講師+フリーランスは・・・

  • 自分や家族の時間は正規教員より増える
  • 経験したことのない精神的不安を味わう
  • 完全に自由なわけではない
  • 自分の事業のための時間をある程度確保できる

といったところです。

同じようなやり方にご興味のある方は、TwitterのDMなどで質問をとばしていただければもう少し突っ込んだ内容もお答えできます。

不安だけど一歩踏み出したい方の力になれれば幸いです^^

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この記事を書いた人

教員の複業について日本で一番詳しい者です。
学校の内外を往還する先生を研究実践するNPO「越境先生」代表。
教育系複業家。
現職:任意NPO代表&SchoolTech企業社員&個人事業主/
過去の職業:複業&小学校非常勤←中学理科教諭←教育大←吉本新喜劇 |

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