アドラー心理学教育

小中学校で危険な行為をやめさせる方法と指導の手順

こんにちは!マサムネです!

先日こんな場面に遭遇しました。

小学生が高い場所にある廊下の窓によじ登ろうとしています。

当然止めないといけないわけですが皆さんなら何と声掛けしますか?

今回は学校で安全を守るための働きかけについて、具体的な手順を解説します。

聞き流しで知りたい方はこちらをどうぞ↓↓

まずは安全確保

まずは危険な状態から引き離すことが先決。

危険から遠ざけるためならば多少強引でもいいです。悠長にしていてケガをしてしまってはいけません。

学校は教育の場であると同時に子どもの安全を守る場所ですから、危険な行為に対しては迅速に安全の確保をしましょう。

僕も窓から降りるようはっきりしっかりと促し、ここは妥協の余地を挟みませんでした。

事情を確認する

安全が確保されれば、次に「どうしたの?」です。セオリーですね^^

まずはこのセリフから会話を始めましょう。

安全確保ができている状態であればもう慌てて強引な指導をする必要はありません。

落ち着いてその行為をしていた意図を確認してください。

ここで安全確保のためのボルテージで強く注意してしまってはいけません。

そもそもやった本人は自分の行為がどういったものか自覚していないかもしれません。

強引に行為を止めさせられたあげく強く叱責されれば、叱責されたことに注意が向いてしまうかもしれません。

ここからはもう対話のフェーズです。

落ち着いて行為の振り返りを行い、次回からは自分の判断で同じ行為はしてはならないと気づいてもらう必要があります。

「危険な行為は強く指導してもいい」みたいな論調もありますが、最初から最後まで猛然と叱責するのはオススメしません。

単に強く指導すると…

「この先生が口うるさいからこの先生の前ではやめておこう」となります。

その先生が目を離しているとき、または学年が変わって先生も変わったときに、、、、

またやります。

本当の意味で自分の行為を振り返れていないからです。

粘り強く対話していく。

一度では改善できずまたするかもしれませんが、そのたびにしっかり対話していけばいずれ自分の考えで行動を抑制することができるようになるかもしれません。

先日の僕の例でも、「なぜ窓枠によじ登ろうとしてたの?」と、普通の質問をするかのように聞いてみました。

「ほかの子が投げた消しゴムが乗ってしまった」

という答えが返ってきたので、本人なりにきちんと理由があったことがわかります。

なぜその行為が危険なのかを伝える

意図を確認したところで次はなぜその行為が危険なのかをわかりやすく説明しましょう。

理由の説明は我々が考えている以上に重要です。

こんな実験が行われたそうです。

コピーの列に並ぶビジネスパーソンに「先にコピーさせてください」と頼むとほとんどの場合断られます。

一方で「とても急いでいるのでコピーを変わってもらえないか」と頼むと、だいたいの場合了承してもらえるそうです。

みんな急いでいるに決まっているのに(笑)

子どもも大人も、理由付きで説得されると納得できる可能性が大幅に高まります。

危険行為をただ「危ないからダメ」と言われても腑に落ちないのでいくら落ち着いて話されても納得感は低いままです。

一方で具体的な理由を本人にわかる言葉で付け加えられれば、その内容は子どもに浸透しやすくなります。

僕が窓枠の件で諭した際も、

「運動ができるできないにかかわらず思ってもいない形で転落することがあるんだよ。」

「そういう人たちは自分は大丈夫だと考えてよじ登って、結果転落して大けがを負ったり命を落としたりしてきた。だから僕は最初に慌てて止めたんだよ。」

と、こんな風に説明をしました。

どんな語り掛け方が最も効果的なのかは、その子といつも接しているあなたが一番よくわかっているはずです。

今後気を付けてほしいと念を押す

行為の意図を確認して危険性の理由を説明したら、あとは本人に今後しないように気を付けられるかの確認をしてください。

本人が落ち着いて話を聞けそうにしているときでかまいません。

課題に介入する行為

いくら正論であっても自分の課題に土足で介入されることを特に反応的な子どもは嫌がります。

今回の場合もそういう構図になってしまいがちです。

ですから、ここは心配をしているひとりの大人としてもうしないでほしいと依頼する形でもいいと思います。

対等な相手として子どもを信頼し、君の安全のためにああいった行為は控えてほしいとはっきり簡潔に依頼しましょう。

経験談やこちらの必死さを乗せて話してもいいかもしれません。

今回の僕の場合では、「人は窓から落ちて簡単に死んじゃうんだ」こう伝えました。

少しセンセーショナルですが、こちらの必死さを感じ取ってもらえればと思いあえて言いました。

僕は実際に子どものころ友人を転落死でなくしていますし、勤務している学校の校舎から職員が転落死してしまったという痛ましい事件にも遭遇しました。

戦争体験を経験者ご本人から聞くと重みが違うように、そういった体験を共有してやることでこちらの本気度がある程度伝わっていたように思います。

最初ばつが悪そうにおどけていた彼も、真摯に話を聞いてくれました。

普段穏やかだと効果は倍増

これは副次的な効果ですが普段穏やかにしている人が気持ちを込めて諭したりすると、多かれ少なかれ子どもは応えようとしてくれるものです。

こういったことからも、あまり普段から高圧的な態度をとることはお勧めできません。

ずっとそうし続けなくてはいけなくなりますし、いざというときのメッセージの効果が薄れてしまうからです。

本人の了承を得たうえで全体にも周知する

これをしない先生がとっても多いのですが、非常にもったいないことです。

これ、必ず必要です。

危険行為を周りで見ている子もいるわけですから、この行為と一連のやり取りは生きた教材なわけです。

全体への周知を行うことで予防的生徒指導効果を見込めます。

また、この子が危険行為をしたということは環境的に他の子も同じ行為をする可能性があるということです。

危険行為をしてしまった子に話したのと同じ内容でいいので、クラス全体に周知していきましょう。

本人への了承

全体に周知する目的が、危険行為をした子をつるし上げることになってしまってはいけません。

あくまで目的は、今回の件を教材として他の子の同様の行為を防ぐことです。

ですから本人に恥をかかせないために先に了承を得ます。

「みんなも同じようなことをしてしまうかもしれないから、今回僕と君とで話したことをみんなにも知っ
てもらいたい。いいかな?」

こう確認しておくことが大事です。

OKをもらえたら、僕は忘れずにありがとうと伝えます。

個人的な経験をみんなのために共有してくれたわけですから、そういった意味で彼は学級のみんなに貢献したと言えます。

もちろん、経験の共有を了承してくれたという意味においてのみです。

まとめ

今回は学校安全にかかわる働きかけの方法をご紹介しました。

危険行為が起こった際は
  1. 迅速に安全確保
  2. 事情の確認
  3. 危険性の説明
  4. 今後しないということの確認
  5. 本人に了承を得たうえでの全体指導

こういった手順で危険の除去と、開発的・予防的な生徒指導を順に行っていくようにしましょう。

子ども自身に危険な行為をしないと判断してもらえるような、個々人にあったアプローチの方法を色々と試していってください。

危険行為も一つの教材にすることができれば、自立した学級へ到達する速度が少しだけ早まります。

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前田ひろあき
教員の複業について日本で一番詳しい者です。 学校の内外を往還する先生を研究実践するNPO「越境先生」代表。 教育系複業家。 現職:任意NPO代表&SchoolTech企業社員&個人事業主/ 過去の職業:複業&小学校非常勤←中学理科教諭←教育大←吉本新喜劇 |