アドラー心理学教育

褒めない教育 子育てや学校教育で子どもを褒めるのをやめた結果

こんにちは。1歳と3歳を子育て中のマサムネです。

公私ともに教育にかかわっています。

中学教諭時代、キャリアの途中から僕は子どもを褒めるのをやめました。

この記事では褒めない子育てや学級経営の狙いと結果についてご紹介します。

最初は褒めていた

中学で勤務し始めて1年目から学級担任をしていました。

教師からの「褒め」は肥料のようなものだと思っていたのでとにかくめちゃくちゃ褒めました。

4月から褒めに褒めて学級経営してみたのですが、褒める云々というより教育の目的とか哲学を持っていなかったことがマズかったように思います。

2学期くらいから学級はコントロールを失った状態になりました。

なんだか子どもからも信用されていないし、仕方ないから怒ってみるけど今更な感じというか、、、

逆の立場になって考えてみたらわかるのですが、やたらと褒められてもあざとさが見えるというか。。。

そんな感じだったと思います。

褒めてヨイショしていい気分にしてから操作してやろうというスケベ心が丸出しだったのかもしれないですね。

そんなスケベ野郎の思い通りにはなりたくないわけですから、当然みんなそんなにノッてきません。

しかもこの教師褒めてノッてこないと見るやいきなりガチ切れしたりするわけですから、そんな奴誰も信用しませんよね(笑)

不自然なほど褒めたかと思えば、時々あり得ないくらい怒鳴るという。。。もう完全にサイコ野郎です。

叱るのも褒めるのもやめた

アドラー心理学の勉強をするようになって、今までやっていたことがダメだったなーと考えるようになりまして、、、

教師2,3年目からは自然体で生徒と接するように心がけ、そのうち褒めるのも叱るのもしなくなりました。

「なんで褒めるのまでやめるの?」

という疑問がわくかもしれません。

褒めるのも叱るのも結局のところ相手と同じ目線には立っていないからなんですね。

どういうことかと言いますと、「褒める」という行為には一抹のスケベ心が含まれています。

場合によってはほぼスケベ心の場合もあります。

もう少し言ってしまうと「上の者が下の者を操作するために行う行為」これが「褒める」の正体です。

自然体で接するようになって以後は教育の目標を「自立」に置くようになりましたので、褒めるという行為は自立心を奪うことのように思えて褒めるのはやめました。

常に褒めてくれる人がいないとやる気を出せないなんて、自立とは真逆の状態ですから。

褒めなくても教育は成立するのか

はっきり言うと褒めなくても教育は成立します。

例えばあなたが手作りのクッキーを売っているお店の店主だとしてお客さんから何と言われると嬉しいですか?

多分、「おいしかった!」とか「ありがとう」ですよね。

「このクッキーの焼き加減は上々だね」と言われたら、言い方にもよるでしょうがちょっとウザくないですか?(笑)

「いやぁ、こんなに最高なクッキーは食べたことない!さすがですね!!日本一!!」とかまで言われると若干怪しさを感じませんか?

極端な例であることは認めますが、なにせ上から目線で褒められてもいい気はしませんし、不自然な褒めは下心を疑ってしまいます。

しかし、感動や感謝の気持ちを率直に伝えてもらえたらどうでしょうか。

素直に自分も感動し、もしかしたら勇気すらもらえるかもしれません。

「このクッキーを届けることで人の役に立てるんだ!」ってな感じで。

教育のときもこれでいいというか。。。

決してテクニックとしてとらえてほしくはないのですが、意図的に子どもを動かそうという気持ちをなくしていくことでかえってうまくいったんですね。

シンプルに人と人として、相手に感謝とか感嘆を伝える。。

テクニックとして褒めるよりもこの方がいいかなと。

そういうスタンスをとったからといってすぐに全員が全員いい子になるわけではありません。

変化はゆっくりなのですが、この感謝を伝えるという姿勢はゆっくりじんわり、子どもたちに伝播していくみたいです。

少なくとも無理にほめていたころに比べると自分も疲れないし、相手に変な警戒心を抱かせることもなくなったように思います。

褒めない子育てと学級経営の結果

学級経営の方では、いったんは荒れちゃうんですよね(笑)

1年間通しで「叱りもしないし褒めもしない」って決めてから始めるわけなんですが、やっぱりそれまでずっとアメとムチみたいな育てられ方している子がほとんどなので。。。

どうやらアメもムチもないと混乱するようです。

というより「この教師は僕たち私たちの扱いが下手だ。」みたいな認識になるっぽいんです。

「君たちは一生誰かに扱われて生きていくのかい?」という問いかけと共に、自立のためのリハビリをするところからがスタートなわけです。

「うまく転がしてくれるのが良い大人」みたいな認識を持っているのですが、そもそも「うまく転がしてくれる奴がいない環境でどうやって生きていくつもりなのか」を問い直していくわけです。

こんなことがありました。

後方のロッカーの上に荷物を置きたいと言い張る男子が5人くらい。

  • 景観を損なう
  • 掲示物が見えにくい
  • 管理がずさんになる

こういった理由から僕は「置いてほしくないから机にかけるかロッカーに入れるかしてほしい」と言いました。

すると猛反発が起こって大論争になるわけですが、とはいえ大きい声でブーブー言ってるのは5人程度のものなんです(笑)

僕はブーブー言われてもそもそも反抗だとかは思わなくて、単に権力に対抗したい気持ちと利便性を追求したい気持ちがないまぜになって色々言ってるんだなぁと観察していました。

他の子どもたちは「まぁ先生が言ってるしそれでいいんじゃない」という程度でした。

置きたいと主張する子たちもそこまで正当な理由を提示できるわけでもなく、お互い相手を説得できないので平行線に終わりました。

「議論する時間を放課後にとってみようか」というと話すために残ったのは一人で、あとの4名は帰ってしまいました。

「俺こういうの話すの好き」と彼は教えてくれたのですが、他の子が帰ったことを少し残念そうにしていました。

翌日から実行支配みたいな感じで前日好き勝手に主張していた子たちがロッカー上に物を置き始めたのですが、僕は特に叱りませんでした。

そのかわりに

「一応昨日話し合う準備もしていたけども、、、でももはや自分の責任でその後ろのロッカーの上に自分の荷物を置くわけだね?僕はそれを止めることはできないけど、僕なりになぜ置いてほしくないかの説明は十分したと思う。そのうえで置きたいのであれば、自分で判断していいよ。ただやはり僕は賛成しない。」とだけ伝えました。

このセリフも怒気やイヤミっぽさを含めず、丁寧に伝えました。

普通このように生徒にやり込められたら、どんどん後に続く子が増えそうなものですが、不思議と誰もマネしないんですね。

人が明らかに反対しているものを自分の責任で無理に破ろうとするのは、どうやらすごくエネルギーがいるみたいです。

どうなるのかと思ってみていたのですがこれは面白い発見でした。

よく見ると、昨日1人残ってくれていた子は実効支配していないわけです。

その後はたまに気付いた時に「この荷物は自分のロッカーに入れてね。」と軽くお願いする程度でしたが、気付けばロッカーの上の荷物はほとんどなくなっていました。

学年末には完全に何も物が乗っていない状態になっていました。

うほー!!おもしろーーー!!!!

って感じです(笑)

褒めるかどうかの話が出てきていませんが、僕が言いたいのはこういうことなんです。

子どもたちとは対等な関係なので褒めるとか叱るとかのテクニックは特に使いません。

素直にこう思うということを伝えて、協力や判断を求める。コレの繰り返しです。

「褒める」という人に依存したニンジンはいらないのかなと。

「褒めない教育」なんてタグ付けをしましたが、対等に対話をしたいがために「褒める」ができなくなっただけなんです。

それが褒めない教育の正体でした。

褒めないからといって子どもたちに無関心なわけでは全然ないですし、叱りはしなくても違うものは違うと意見します。

何せ立場は違えど子どもたちとは対等なわけですから。対等な相手には感謝も意見もするのが当然でしょう。

1年間全く褒めない学級経営をしましたが、結局いい子たちに成長してくれました。

実際のところトラブルや生徒指導の件数もそれぞれの学級で年度末には激減していきました。

子育ての方は現在進行形ですが、自分の子どもたちについてはそこにいてくれているだけで感謝してしまえるので全く問題ありません(笑)

手前味噌ですがいい子に育っていますよ^^保育園では二人とも全然手がかかっていないそうです。

まぁこれから何があるかはわかりません(笑)

叱らず褒めない教育の足跡

今回は褒めない教育についてその一端をご紹介しました。

無関心ではなく、相手と対等でいたいがために感動や感謝といった表現を使いたい。それが僕の褒めない教育です。

以下の記事に叱らず褒めない教育についてまとめています。

あと、もし学校で自立のための教育をしてみたいという方は、Twitterで何か投げてみてください。

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ABOUT ME
前田ひろあき
教員の複業について日本で一番詳しい者です。 学校の内外を往還する先生を研究実践するNPO「越境先生」代表。 教育系複業家。 現職:任意NPO代表&SchoolTech企業社員&個人事業主/ 過去の職業:複業&小学校非常勤←中学理科教諭←教育大←吉本新喜劇 |