男性教師の育休

【解説】男性教員の育休―収入・取得方法・生活・体験談―

男性教員

子どもが生まれるし育休とりたいな。学校に伝えるのどうしたらいいんだろ。色々聞きたいけど身近に突っ込んで聞ける人いないんだよな…。


夫が教員の女性

夫に育休とってほしいな。でもお金のこととか大丈夫かな。


こういった疑問に答えていきます。

この記事を最後まで読むと。

  • 男性教員の育休中のお金事情
  • 取得から復職までの職場とのやり取り
  • 男性教員が育休をとるメリット
  • 男性教員の育休体験談
  • 男性教員の育休についての情報全般

このあたりが理解でき、安心して育休をとれるようになります。

パートナーや同僚への説明にも本記事をご活用ください^^

この記事を書いているマサムネは…

  • 小中学校の男性教員
  • 2年半以上の育休取得
  • 二児の父
  • 妻も教員でダブル育休取得

ってな感じで取得前・取得中も情報収集しまくり&男性教員の友人に育休の布教活動もしているくらい筋金入りの男性教員の育休マニアです。

そんなマサムネが魂を込めてまとめました。

なんで魂を込めているかは記事の最後に書いておきます。

まずは男性育休をとる先生に必要な情報を見ていきましょう!!

育休の相談をたくさんいただくので相談窓口作りました。

一緒に作戦考えます!

詳しくは↓のボタンのリンクから。

お気軽にどぞ^^

男性教員の育休中のお金

家計がまわるのか心配ですよね。。。

しかし、結論からいうとお金は絶対になんとかなります!

今までいろんな男の先生に育休を勧め、実際に取得してもらいましたがお金で困っている人は一人もいません。

身近な経験者(マサムネ)から色々聞いて育休に入ったからです。

ここからは男性教員の育休中のお金で押さえておくべきポイントをやさしく解説していきます。

入ってくるお金

育休は産休とは違いますので給料はストップします。

その代わりに入ってくるお金もあります。

まずはこれらを確認していきましょう。

育児休業給付金

育児休業給付金は手取り収入の約80%が支給されます。

取得から180日経過した時点で手取りの約60%ほどの支給率に変化します。

細かい算出方法が気になる人はコチラの記事をどうぞ↓

30歳時点で年収550万円程度だった僕の場合、180日までの期間は月に22万円前後でした。

以後は月に16万円程度が支給されていました。

育児休業給付金は共済組合から支給されます。

僕の自治体の場合、支給日は翌月でした。

ちなみに育児休業給付金は給料ではないので非課税です。

児童手当

3歳未満の子ども一人につき月額1万5千円が給付されるという全国民対象の制度です。

(第一子、第二子の場合3歳以降は1万円になります。)

出生日の翌月分から2月、6月、10月にそれぞれ4か月分がまとめて支給されます。

当然新生児にも支給されますが、保護者が公務員の場合は所属先の自治体から支給されます。

また、どちらか収入が多い方の保護者に支給されます。

例:子が7月に誕生

  • 8月分より支給
  • 10月に8月・9月分がまとめて支給
  • 10月に3万円が支給される

育休の取得に関係なく支給されるものですが、育児休業給付金と併せて貴重な収入源となるのできちんと申請しましょう。

子が生まれた際に事務職員の方より案内があるはずです。

出生から15日以内に手続きします。

おススメの使い方は教育資金用にNISAなどで運用することです。

詳しくは下記記事をご覧ください。

ボーナス

公務員のボーナスは1~6月の勤務分が6月に、7~12月の勤務分が12月に支給されています。

例えば6月から育休に入っても5月までの分のボーナスは支給されるわけです。

めちゃくちゃ助かりますね。

免除されるお金

育休をとることによって免除されるお金もあります。

例えば月収35万円の人の場合、個人はありますが概ね手取りは28万円になります。

普段は以下に紹介するお金が給料から引かれているからです。

これらが免除されることにより、育児休業給付金が「実質手取りの80%支給されている」ということになるわけです。

所得税

育休中は所得税が免除となります。

というより育児休業給付金が「所得」にあたらないため課税されません。

ただし所得税が課税されないことによるデメリットも多少あります。

後に解説する「出ていくお金」の「税の還付金」をご確認ください。

共済組合などの掛け金

共済組合の掛け金や厚生年金保険料なども免除となります。

毎月数万円を支払っているため、これが免除になるのは非常に大きいです。

出ていくお金

育休に入ることで出ていくお金があります。

住民税

育休最大の強敵。住民税です。

10万円とかのレベルで徴収されるのでお気を付けください。

いくら支払うかはそれぞれの給料額や育休に入った時期によって異なります。

マサムネ

いっきに払ったから10万円くらいかかったで。

ただし復帰後の住民税はすごく低くなります。

なぜなら育休中は給料が発生しないから。

税の還付金

毎年年末調整後にけっこうな金額が還ってきています。

生命保険の控除やローン控除が代表的ですね。

しかし育児休業給付金の期間は所得税がかかっていませんのでその期間分の還付金も少なくなります。

ローン控除などはけっこうなインパクトなので少し寂しい気持ちになります。

男性教員の育休と職場

人手不足の学校業界で育休の申し出をするのは勇気がいりますよね。

とはいえ昨今は男性育休が社会的な潮流となっています。

気持ちよく育休にはいるために周りに承認されたうえで育休を取得しましょう。

男性教員向けオススメ育休取得プラン

おススメの育休取得プランは出産補助休暇最大数取得+キリのいい日までの年休取得⇒育休取得です。

各自治体で5日~10日程度の出産補助系の有給休暇制度があります。

これと年休を組み合わせて有給休暇をまとめて取得してから育休に入りましょう。

  • 予定日のズレに対応できる
  • 残年休を消化できる
  • 育児休業給付金の減額が先延ばしできる
  • ボーナスの査定が増える

職場への申し入れ時期と伝え方

できれば4月から育休をとれれば、とる側としても負担をかけている感じが少なくてすみそうです。

しかし子は授かりものですから時期を選ぶことはできません。

職場に申し入れるタイミングは2回に分けましょう。

1回目は妊娠がわかり、育休をとるということを夫婦で相談して決めたタイミングが良いでしょう

職場で心の準備をしてもらうためなるべく早く伝える方が良いです。

ただし、伝えるのは管理職の先生と学年主任の先生だけにとどめておきましょう。

妊娠にはリスクもあるためです。

2回目の申し入れのタイミングは妊娠5か月以降の安定期に入ったタイミングです。

正式に管理職や関係する職員に申し出て、育休を取得する旨を伝えましょう。

同僚、生徒、保護者の反応

概ね応援してもらえます。

子どもたちはさみしいと言ってくれる子もいますが、そもそも教師に依存させるかたちのかかわり方をしていてはいけません。

保護者の方も概ね理解がありました。

とくに「旦那さんに育児に参加してほしい」と思っていた保護者の方からは応援してもらえました。

同僚もほとんどの人が背中を押してくれます。

中には攻撃してくる人もいるかもしれませんが、落ち度のない対応をしていれば問題はありません。

僕の場合は伝え方の配慮が足らない部分もあり最後までぎくしゃくしてしまった同僚もいましたが、究極的にはしかたがないのかなと思うようにしています。

生徒や保護者には事前に周知させてもらえるようしっかり管理職などに働きかけましょう。

僕は直前まで話すことを許可してもらえませんでした。

「自分が無理を言って育休をとらせてもらうのだから」と納得するようにしていましたが、もっとちゃんと主張しておけばよかったと後悔しています。

男性教員が育休をとる姿は、必ず子どもたちの学びになるはずです。

ぜひご自身の育休体験を教材にしてやってください。

育休からの復職

復職の際にはしっかりと管理職の先生とすり合わせるようにしましょう。

期間が数カ月の育休であれば復帰後のポジションについてあらかじめ合意を得ておくといいでしょう。

年度をまたぐ復帰の場合は校長先生にオンラインや対面での面談をお願いした方が良いです。

育児は復帰してからも続きます。

ありがちなこととしては育休復帰後「パパさんは通常運転の働き方に戻る」というパターンです。

しかし夫婦二人ともフルタイムの場合二人とも復帰して子育てもしっかりやっていくというのはかなりハードです。

パパさんが出産前と同じ働き方をしていては家庭は回りません。

ですから、復帰後は「定時で帰って保育園の送り迎えをしたい」という希望をしっかりと伝えましょう。

男性教員を取り巻く育休の現状

男性教員の育休取得の実績は高くありません。

男性教職員の育休取得率は低い

こちらの記事では九州の男性教職員の育休取得率を公開しています。

男性教職員の育休取得率は九州全体で2%。

同年の厚労省調査では全職種の取得率が6.16%となっています。

近年は取得率が増加傾向なのですが、基本的に男性教職員の育休取得率は他の業種と比べて低いことがわかります。

一方で女性教員はほぼ100%取得しており、一般の80%台前半と比べても非常に高い取得率です。

女性の育休は女性教員がリードしているといえそうですね。

身近に取得した人がいるととりやすい

僕自身も部活動で顧問仲間の先生が育休をとったという話を聞いて取得しました。

そして僕が育休をとったあと、大学の後輩や妻の友人、僕自身の友人など育休の輪は広がりました。

周りで育休取得の話があると「とってみようかな」となる人が増える印象です。

この記事を見た人はぜひファーストペンギンになって育休を取得してほしいです^^

30代中学校教員が育休を取得した理由

育休をとってみて、色々と発信していく中で多いなと感じる理由。

立ち止まって世の中の事をみたり、考えたりする時間が欲しかった。

育休が我が子をしっかりと育児するための時間だということは間違いありません。

一方で本当に落ち着いて立ち止まって考える時間が教師にないのも事実。

ある程度キャリアを重ねたこのタイミングで、赤ちゃんにミルクを飲ませながら自分のことや世の中のことを広く深く見てみるのもいいものですよ。

ちなみに私マサムネが育休をとった主な理由は以下の通りです。

  • 自分の子の世話がしたかった
  • 奥さんだけに負担感を推しつけたくなかった
  • これからトレンドになりそうな育休を経験したかった
  • 職場での人間関係が重荷になっていた
  • 学校で削れて我が子の大事な時間が見られないのは本末転倒だと思った

全然カッコいい理由じゃないです。

でも今迷っているっ人も別にそんな動機で取得してもいいと思うんです。

親が前向きに自分の人生を生きていることは、必ず子に良い影響を与えるものと信じています。

男性教員の育休中の生活

ここでは男性の育休中の生活がどのようなものになるのか、僕を例に紹介します。

夫婦で同時に育休をとる場合と、男性一人で育休を取得する場合との2パターンを紹介します。

もちろん赤ちゃんの月齢によっても微妙に変化します。

夜しっかり寝てくれるかどうかも個人差があるようです。

夫婦ダブル育休の場合

概ねこんな感じの一日です。

夫婦ダブル育休の一日

5:00 早起きして勉強や読書など

7:00 朝のオムツ&授乳

9:00 赤ちゃんと散歩や日光浴(ママ休憩)

10:00 家事など&授乳&赤ちゃん朝寝

12:00 昼食&授乳など

13:00 地域のベビースペースなどにお出かけ

     (夫婦でor片方が残って家事)

15:00 授乳&昼寝

17:00 夕食準備&入浴

18:00 授乳&ご飯

19:00 夫寝かしつけ&奥さん1人時間

数時間おきに起きる長い夜

3時間おきくらいに授乳が必要な時期を想定して書きました。

基本的にずーっと排泄とミルクを繰り返します(笑)

夫婦同時育休だと睡眠はぶつ切りになるのですが助け合いながら乗り切ることができます。

男性ワンオペ育休の場合

娘が11カ月になったころから妻が復帰し、僕が1人で育児しました。

男性ワンオペ育児の場合

5:00 早起きして勉強や読書など

6:30 奥さんの朝食

7:30 奥さん出勤&離乳食

8:00 片付け&洗濯

9:00 お外or遊び場

11:30 帰宅&離乳食

12:30 お昼寝の寝かしつけ

13:00 勉強or読書or離乳食の作り置き

15:00 室内で遊ぶ

15:30 おやつ&食料品の買い物

16:30 夕飯準備&夕方の家事

18:00 妻帰宅&夕食

19:00 入浴

20:30 寝かしつけ

うちの子は頻繁に起きていた長い夜

妻が働きに出ている時期は妻が寝かしつけをほとんど担当してくれていました。

妻がバタンキューした後に僕が食器の片付けや洗濯物の予約をして寝るor自分の時間をとる…といった感じです。

妻が休みの時や週末の夜はたまに釣りに出かけたりもしていました。

また、娘との睡眠時間の差額を利用して動画編集やブログを書いたりもしていましたね。

育休中に隙間時間(あんまりない)をぬってやったこと

僕は育休をとる前から育休中に自己研鑽する気満々でした。実際色々やってみました。

以下やったこと一覧です。

  • ブログ運営
  • Youtube運営
  • 教員以外の人との交流
  • お金の勉強
  • 転職活動
  • ダイエット

ただ思った以上に時間はない

一人しか詰めてない職員室で仕事しようとするようなもんです(笑)

すぐに子どものことで動かないといけなくなるのでまとまった時間など取れませんでした。

なのでぶっちゃけ睡眠時間少し削ったり、子どもが寝た時間を利用して自分磨きをしました。

どのチャレンジもスッキリ成功とはいきませんでしたが、良い経験に名ttので間違いなく自分にとってはプラスです。

育休中にやった自己研鑽の内容詳細について、別記事でまとめていますので参考まで↓↓

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男性教員が育休を取得して感じたメリット

正規教員時代に僕が育休をとってよかったと感じているメリットは大きく以下の通りです。

  • しっかり子の成長がみられる
  • 世の中、自分を知る機会になる
  • 子育て中の保護者や同僚への共感力が高まる
  • 子どもたちへの対応が寛容になる
  • 隙間時間への集中力が増す

特に将来学年を率いる立場になる人は、同僚に配慮できるようになることが非常にプラスにはたらくと考えています。

「子どもがいる」というだけでは共感力は芽生えません。

自分が子育ての第一義的責任を負って取り組むことで、初めて見えてくるものがあります。

マサムネ

街中や学校で子連れに優しくないものに気付けるようになったで

子育ては間違いなく人間力を向上させてくれます。

まとめ

男性教員の育休は事前の報告とお金周りの準備をしっかりしておけばメリットだらけです。

また、自分や家族にとっての良いことだけではなく多面的に良い面があります。

家族のために、自分のためにも、教育のために、そして世の中のためにも男性の先生は育休をとってもらいたいです。

育休の社会的意義

男性教員の育休には社会的にも大きな意義があります。

最初にもお伝えした通り、日本の産育休の歴史は女性教員の方々が切り開いてくれました。

少子化や労働人口減少の問題に直面して、男性の育児参画は必須になります。

これからを生きる子どもたちの身近な教材になるためにも、男性教員が男性育休の価値観を一般的なものにしていきましょう!

あなたがとるその育休はあなたが身勝手にとるものじゃないんです。

あなたがとるその育休には、世の中に変革をもたらすための意義があるんです!!


教員が持続的で良い職業になることを目指して、共に行動していきましょう^^

お子さんが無事誕生し、心健やかに育児をできることを願っています!

育休の相談をたくさんいただくので相談窓口作りました。

一緒に作戦考えます!

詳しくは↓のボタンのリンクから。

お気軽にどぞ^^

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前田ひろあき
教員の複業について日本で一番詳しい者です。 学校の内外を往還する先生を研究実践するNPO「越境先生」代表。 教育系複業家。 現職:任意NPO代表&SchoolTech企業社員&個人事業主/ 過去の職業:複業&小学校非常勤←中学理科教諭←教育大←吉本新喜劇 |