教師は長く続けられる職業ではなくなった 教師が安定しない職業である理由③

こんにちは。マサムネです。

教師が安定しない職業である理由の第三弾です。

第一弾→コチラ

第二弾→コチラ

今回、実は教師が長く続けられる職業ではなくなったことをデータを交えながらお伝えします。

教師は会社員の1.5倍、精神疾患になりやすい

結論からいうと教師が精神疾患によって1カ月以上の休職や離職をするリスクは会社員の1.5倍あります。

会社員の休職と離職の割合

厚労省 平成29年度労働安全衛生調査より

メンタルヘルス不調により1カ月以上休業または退職した労働者割合は上記のようになっています。平成28年データではすべての労働者のうち0.6%の人が該当しているようです。業種によってばらつきがあります。

一般の労働者のうち、1000人に6人は精神的な問題で1カ月以上休んだり退職したりしているということです。

教師の休職と離職の割合

教師のデータも見ていきましょう。

文科省 学校基本調査より

こちらも平成28年度の結果をみると全職員中精神疾患により1カ月以上休職した教師の割合は0.88%となっています。ただし、これは休職者のみの数字です。

学校教員統計調査より

こちらは教職員の統計調査のデータです。平成28年度データがありませんでした。また、こちらは中学校のみの数です。平成30年度は中学校だけでも精神疾患で242名の方が退職しています。

平成30年と平成27年の小中高合計人数で平均をとると、概ね年間に700人は精神疾患で退職していることがわかりました。15校分くらいの職員が毎年精神疾患で退職してしまっているということになりますね。

休職者の数とこの700人を合計して計算すると、全教員数のうち精神疾患で休職又は退職をした人の割合は0.95%ということになりました。一般労働者のデータに最近のものがなかったので平成27年のデータを使いましたが、教員を平成30年のデータで計算すると1.05%になります。

100人の先生がいたら毎年1人は精神疾患によって休業するか退職するかしているということです。

30年間教師を続けたとしたら、これが30回繰り返されるわけですから、「絶対に自分の身には起こらない」とは言い切れないわけです。

目次

実は定年退職以外の退職がとても多い

教師は金銭的にはある程度安定している部類の職業です。第二回にも書きましたが、給与面での爆発力や成長性はないものの倒産や解雇の可能性が低く給与水準も高めなわけですから、続けられさえすれば安定しています。

定年をむかえるか、または勧奨退職という定年と同じ率の退職金をもらえる年数まで勤め上げれば、小金持ちになることもできます。

ではどれくらいの人が定年まで勤め上げているのでしょうか。

学校教員統計調査より

先ほどと同じグラフですが、30年度の勧奨を含む定年退職者の割合が60%を切っています。ここに記載されていない小学校と高校でもそれぞれ60%台前半となっており、定年や勧奨以外で退職する人は40%程度いるということがわかります。

こちらは一般企業と比べたデータがないので比較のしようはないのですが、退職者のうち4割は定年などではない辞め方をしているという事実があるわけです。

続けられさえすれば金銭的にはある程度安定」の前提部分が怪しくなっています。

教員は長く続けられる職業ではないのかもしれない

教師は病みやすい仕事であるということが言われてきましたが、今回はそれをデータに基づいて明らかにしてみました。

調べていて意外だったのが、定年前に辞めてしまう人の多さです。

肌感覚的にはもう少し定年まで勤める人の割合が多いのかと思っていましたが、4割くらいが定年や勧奨関係なく辞めているということに驚きました。

あと気になったのが退職理由のうちの死亡って項目なんですよね。平成30年度調査では小中高あわせて307人ということでした。

一般の割合と比較してそこまで際立った数字ではないかもしれません。

建設現場などと比べると身体的な危険性は少ない仕事といえるでしょう。

ただまぁ。。。こういっては何ですが、事故や病気などではない亡くなり方をした先生を身近に何名か知っていたりもするので、なんだかなぁというところは正直あります。

データを読み解いてみると、学校の先生は精神疾患によって職場を離れるリスクが一般の職業より高く、定年以外の理由で退職する可能性も高い職業だということが見えてきました。

長く続けられさえすれば安定なのかもしれませんが、「果たして長く続けられる職業なのか」ということです。

教師を長く続けるためにできること

まずは心身の健康を保つことが大切です。

当たり前のことですし、よく管理職からも言われることだとは思います。

でも、これを自分で覚悟をもってマネジメントする必要があると考えています。

睡眠時間が短くなってしまったり、リフレッシュする機会が減ってしまうと、機能的な問題として我々の心身の健康はむしばまれていきます。

小学校教師である妻は毎日ほぼほぼ定時で帰ってきますし、割とタフな方だと思いますがそれでも毎日ヘロヘロのクタクタになっています。

教師をしている皆さんはまずはご自身の職業が「定時に終わらせられたとしてもタフな仕事である」ということを自覚してください。

「迷惑がかかるかも」「さぼっていると思われたら居づらくなりそう」その気持ちはめちゃくちゃわかります!

でもそれでも、あなたがつぶれてしまっては意味がないです。

我々教師が取り扱うのは大切な命なわけで、

それを見守る側が身を削っていては本末転倒です。

消防士の方は、まずは自分が被害に遭わないようにということを大切にされているそうですよ。

そりゃそうです。

火災で助けてもらいたいときに、大ケガと大火傷を負った消防隊員が現れても絶望が一つ増えるだけですから。

でも我々教師はまさにそうなっているんじゃないかと思うんです。

大火傷を負いながら毎日仕事を遂行して、火傷していない人を見かけると「お前もちゃんと火傷しろよ!!」って。

まずは自分から変えていきましょう。火傷するのをやめましょう!

自分の余暇や時間を確保して、そのうえで子どもたちの健全育成に貢献してもらいたいと願っています。

長く続けるためにも、子どもたちのためにも、とにかく早く帰りましょう。

教師が安定しない職業である理由④に続きます。

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この記事を書いた人

教員の複業について日本で一番詳しい者です。
学校の内外を往還する先生を研究実践するNPO「越境先生」代表。
教育系複業家。
現職:任意NPO代表&SchoolTech企業社員&個人事業主/
過去の職業:複業&小学校非常勤←中学理科教諭←教育大←吉本新喜劇 |

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